事件名
コタバト殺傷テロ

国 名

フィリピン
年月日 1980年9月〜10月
詳 細

「モロ民族解放戦線(MNLF)」の分派である「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」は、1980年代から分離・独立を求めて闘争を続けている。イデオロギー色の濃いMILFは、アルカイダと関与が深いとされる「アブ・サヤフ」の戦術をイスラムの名を汚しているとして非難している。「アブ・サヤフ」はフィリピン南部へのイスラム国家樹立を大義としているが、1988年に指導者が警察との銃撃戦で殺された後2つに分裂、独立運動より強盗や身代金目的の誘拐を繰り返す集団と化した。この組織は、ソ連のアフガン侵攻時に「イスラム聖戦士」として、アフガン武装勢力(サウジアラビアの資金で運営され、パキスタン軍・CIAに訓練を施されていた。)に参加していた者がソ連撤退の後、帰還し創設されたものである。9.11以後、アメリカはアルカイダ掃討に関連しフィリピン軍と協力する形で大々的にミンダナオ島南部に侵攻した。ミンダナオ島南部には、豊富な石油、天然資源が多量に存在している。


1980年9月、コタバト市の3ケ所で手榴弾による民衆殺傷テロが再発し、12月までに同様の事件でミンダナオ島の各市で70人以上が殺害され、負傷者は470人を超えた。モロ民族解放戦線の関与とみられた。
(浦野起央編著『20世紀世界紛争事典』三省堂(2000年)より抜粋)