事件名
米国のキューバ細菌破壊工作

国 名

キューバ
年月日 1980年〜1981年
詳 細

現在、アメリカは細菌兵器所有疑惑があるとしてイラクを非難している。しかし、イランイラク戦争に際して、イラクに細菌兵器を与えたのもCIAである。自らへの脅威を生み出しているのは、アメリカ自身かもしれない。


1980年、グアンタナモ軍事基地近くの個人農場に始まって、近郊半径10キロメートル以内の豚がすべて発病した。このためすべての豚が焼き払われ処分された。結局、1万2000頭の豚が殺害され、経済的損失は2100万ペソに達した。ウイルス学者と疫病専門家の調査で、CIAの細菌破壊工作と判明した。翌81年春、デング熱が突発的に発生し、3万4428人のキューバ人が発病、156人が死亡した。病気の媒介者は、フロリダの実験で航空機から散布された20万匹の蚊と同一種の蚊で、デング熱ウイルスを持っていた。それは、メリーランド大学支部の細菌培養器でウイルスに感染させたもので、CIAに雇われた生物学者がマラリア撃退研究に見せ掛けて撒布したものであった。これは致死性ウイルスで人間を殺す昆虫の、培養技術を一部応用して実施された。
(浦野起央編著『20世紀世界紛争事典』三省堂(2000年)より抜粋)